2010センター現代文・評論解説講義(2) [学問]
今日も前回に続き、今年のセンター現代文の評論の解説講義をお届けしよう。
今回からは、ついに現代文の真骨頂である読解に突入するぞ。
では、早速スタートしよう~
評論編第2回目の今回は、問2の内容説明問題の攻略だ。
【問題ジャンル】 内容説明問題
【解説】
典型的な内容説明問題。
まず、設問で何を聞かれているかをはっきりさせよう。
当たり前のことだが、案外ここがしっかりできていないことが多かったりする。
まあ、何はともあれ、わしの華麗なる解法をご覧あれ。
傍線部Aを読むと、2つのポイントがあることがわかる。
1つ目は「このヴェニスの商人」という指示語を含んだ表現。
2つ目は「抹殺する」といういわゆる比喩表現。
では、1つ目の「このヴェニスの商人」が何を示しているのかを本文中から読み取ろう。
「この」という指示語があるということは、その前を読めということだ。
現代文においては、文法的根拠は重要な手がかりとなる。
傍線部Aを含む段落の1つ前の「ヴェニスの商人―」で始まる段落の3行目「すなわち」以降に注目。
この「すなわち」という語は、前の内容をまとめあげるときにつかう表現だ。
ヴェニスの商人が体現している商業資本主義とは、地理的に離れたふたつの国の
あいだの価格の差異を媒介して利潤を生み出す方法である。そこでは、利潤は差異
から生まれている。
この部分がまさに、傍線部Aの「このヴェニスの商人」が指し示している内容だ。
続いて2つ目のポイント「抹殺する」が意味することを読み解こう。
傍線部Aの直前を見ると、「だが」という逆接の接続語がある。
「だが」の前後で文章の内容がひっくり返されるので、「抹殺する」がどういうことを意味しているのかは、この後を読めばわかる。
傍線部Aの後を読むと、『国富論』からの引用があり、その後の「『国富論』の冒頭に」で始まる段落の3行目以降に注目しよう。
スミスは、(中略)勃興しつつある産業資本主義のもとで汗水たらして労働する人間
に見いだしたのである。(中略)経済学は「人間」を中心として展開されることになった。
さらに、この後の「たとえば」で始まる段落で具体例を示し、「実際」で始まる段落でも主張に補強を付け加えている。
では、ここで2つのポイントをまとめておこう。
・ヴェニスの商人
→差異を媒介して利潤を生み出す産業資本主義の方法
・抹殺する
→労働する人間を経済学の中心に位置づける
つまり、この2つのポイントをふまえたものが正解となるはずである。
では、順番に選択肢を見ていこう。
①は、「利潤追求の不当性を糾弾」がダメ。利潤を追求することが不当であるなどとは本文中で述べられていない。
②は、まず「差異を用いて利潤を生み出す産業資本主義」がダメ。差異を用いて利潤を生み出すと本文で述べられているのは「商業資本主義」のほうである。さらに「抹殺する」の内容をただ「重商主義に挑戦する」と説明している点も不十分である。たしかに「重商主義に挑戦する」という内容は本文中にあるが、ただそれを引っぱってきただけのひっかけの選択肢。
③は、2つのポイントがしっかり説明されている。これが正解。
④は、説明するまでもないだろう。2つのポイントが説明されていないばかりか、ひっかけ的な要素もなく、典型的なダメダメ選択肢のオーラを放っている。これは絶対に選んじゃいけない!
⑤は、「労働者の人権を擁護する」がダメ。労働者を経済学の中心に位置づけることが「抹殺する」の内容であり、労働者の人権は無関係である。
【正解】 ③
【問題レベル】 標準
【コメント】
設問が問うている内容を理解して、本文をていねいに読んでやれば迷うことなく正解できる問題。
今日は、電車がいつもより混んでいた。
制服さんが多いなと思ったら、高校入試があったんだね。
今回からは、ついに現代文の真骨頂である読解に突入するぞ。
では、早速スタートしよう~
評論編第2回目の今回は、問2の内容説明問題の攻略だ。
問2 傍線部A「経済学という学問は、まさに、このヴェニスの商人を抹殺することから出発した」とあるが、それはどういうことか。その説明として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① 経済学という学問は、差異を用いて莫大な利潤を得る仕組みを暴き、そうした利潤追求の不当性を糾弾することから始まったということ。
② 経済学という学問は、差異を用いて利潤を生み出す産業資本主義の方法を排除し、重商主義に挑戦することから始まったということ。
③ 経済学という学問は、差異が利潤をもたらすという認識を退け、人間の労働を富の創出の中心に位置づけることから始まったということ。
④ 経済学という学問は、労働する個人が富を得ることを否定し、国家の富を増大させる行為を推進することから始まったということ。
⑤ 経済学という学問は、地域間の価格差を利用して利潤を得る行為を批判し、労働者の人権を擁護することから始まったということ。
【問題ジャンル】 内容説明問題
【解説】
典型的な内容説明問題。
まず、設問で何を聞かれているかをはっきりさせよう。
当たり前のことだが、案外ここがしっかりできていないことが多かったりする。
まあ、何はともあれ、わしの華麗なる解法をご覧あれ。
傍線部Aを読むと、2つのポイントがあることがわかる。
1つ目は「このヴェニスの商人」という指示語を含んだ表現。
2つ目は「抹殺する」といういわゆる比喩表現。
では、1つ目の「このヴェニスの商人」が何を示しているのかを本文中から読み取ろう。
「この」という指示語があるということは、その前を読めということだ。
現代文においては、文法的根拠は重要な手がかりとなる。
傍線部Aを含む段落の1つ前の「ヴェニスの商人―」で始まる段落の3行目「すなわち」以降に注目。
この「すなわち」という語は、前の内容をまとめあげるときにつかう表現だ。
ヴェニスの商人が体現している商業資本主義とは、地理的に離れたふたつの国の
あいだの価格の差異を媒介して利潤を生み出す方法である。そこでは、利潤は差異
から生まれている。
この部分がまさに、傍線部Aの「このヴェニスの商人」が指し示している内容だ。
続いて2つ目のポイント「抹殺する」が意味することを読み解こう。
傍線部Aの直前を見ると、「だが」という逆接の接続語がある。
「だが」の前後で文章の内容がひっくり返されるので、「抹殺する」がどういうことを意味しているのかは、この後を読めばわかる。
傍線部Aの後を読むと、『国富論』からの引用があり、その後の「『国富論』の冒頭に」で始まる段落の3行目以降に注目しよう。
スミスは、(中略)勃興しつつある産業資本主義のもとで汗水たらして労働する人間
に見いだしたのである。(中略)経済学は「人間」を中心として展開されることになった。
さらに、この後の「たとえば」で始まる段落で具体例を示し、「実際」で始まる段落でも主張に補強を付け加えている。
では、ここで2つのポイントをまとめておこう。
・ヴェニスの商人
→差異を媒介して利潤を生み出す産業資本主義の方法
・抹殺する
→労働する人間を経済学の中心に位置づける
つまり、この2つのポイントをふまえたものが正解となるはずである。
では、順番に選択肢を見ていこう。
①は、「利潤追求の不当性を糾弾」がダメ。利潤を追求することが不当であるなどとは本文中で述べられていない。
②は、まず「差異を用いて利潤を生み出す産業資本主義」がダメ。差異を用いて利潤を生み出すと本文で述べられているのは「商業資本主義」のほうである。さらに「抹殺する」の内容をただ「重商主義に挑戦する」と説明している点も不十分である。たしかに「重商主義に挑戦する」という内容は本文中にあるが、ただそれを引っぱってきただけのひっかけの選択肢。
③は、2つのポイントがしっかり説明されている。これが正解。
④は、説明するまでもないだろう。2つのポイントが説明されていないばかりか、ひっかけ的な要素もなく、典型的なダメダメ選択肢のオーラを放っている。これは絶対に選んじゃいけない!
⑤は、「労働者の人権を擁護する」がダメ。労働者を経済学の中心に位置づけることが「抹殺する」の内容であり、労働者の人権は無関係である。
【正解】 ③
【問題レベル】 標準
【コメント】
設問が問うている内容を理解して、本文をていねいに読んでやれば迷うことなく正解できる問題。
今日は、電車がいつもより混んでいた。
制服さんが多いなと思ったら、高校入試があったんだね。
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